おはるのブログ

自分と向き合うためのブログです。

現代社会におけるヨガ・ピラティスの価値と可能性

 

 

私が好きで、そして、これから先もずっと学び続けていこうとしている

ヨガ・ピラティスにある根底の思想。

 

それが、広井良典さんの著書

『ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来』を読んで、つながった気がした。

 

下の図は、広井さんが説明している

人間社会と自然をめぐる全体的な構造をシンプルにまとめたもの。

コミュニティは共同体を、市場経済は個人を表している。

 

 

 

 

https://local-biz.jp/news/653より引用

 

16世紀前後からの近代社会の中で、

 

市場経済が拡大・成長していった。

それが、【資本主義】の誕生だ。

 

これは、

「共同体(コミュニティ)からの個人の独立」=【離陸】と、

「自然からの人間の独立」=【離陸】

を意味するという。

 

※筆者は、

【資本主義=「市場経済+拡大・成長」を志向するシステム】と考えている

 

しかし、この方向性は好ましくないという。

理由を以下のように説明している。

「人間の経済はその基盤に「自然」という有限な領域を持っており、

その枠の中でこそ存続できるのだし、

同時にそれは「コミュニティ」という基盤も持ち、

そこから、市場経済がただ乖離していけば、

様々な格差や分断が生まれ、結果として、

個人や人間にとっての土台そのものを侵食することになるからだ。」
 『ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来』P79より引用

そのため、筆者は市場経済を拡大・成長していく“離陸”の方向ではなく、

その根底にある「コミュニティ」や「自然」という土台にもう一度つなぎ

“着陸”していくような社会システムの構想を作っていくべきだと述べていた。

 

この考え方が、

私は、ヨガ・ピラティスの根底にある考え方に通じていると思った。

 

というのは、この土台につないでいく考え方、

つまり、市場経済をその土台にあるコミュニティや自然につないでいく」

という方向を、

筆者は、「脳をその土台にある「身体」に“着陸”させる方向」

ということもできるだろう、と述べていたからだ。

 

脳科学者のアントニオ・ダマシオは、著書『デカルトの誤り』において、

自我や意識、思考といったものを、その基盤である身体性から切り離して

自存するもののように捕らえる見方に根本的な異議を唱えている、

とも説明していた。

 

養老孟司さんが、

自然と接しながら感覚で感じ取る社会ではなく、

頭の中で考え作られた社会で人々が生きる社会を「脳化社会」

と表現していることからもわかるように、

現代において、脳と身体をつなげていくことは重要な課題といえるだろう。

 

広井さんの考え方で説明すると、

身体という基盤があるからこそ、脳(心)も働くことができる。

脳が身体から乖離していけば、結果として、

身体も壊れ、脳も適切に働かなくなり、

自分自身を苦しめてしまうことになる、

というような感じになるだろうか。

 

「脳をその土台にある「身体」に“着陸”させる方向」

に導いていくのが、まさにヨガ・ピラティスだ!と思った理由は、

これらは、心(脳=思考器官)と身体を一体と捉え、

心身の健康を目指していけるようにデザインされているからだ。

 

 

この自然やコミュニティ、身体から離陸する考えを、

自己や自我にそくした議論でいうと、

独我論」という近代特有の考え方に

核心があるのではないか、と述べている。

 

独我論は、他者の意識の存在は確証がなく、

世界に存在するのは私の意識だけであるとする考えである。

つまり、

自然やコミュニティから切り離しても市場経済は存在できる

身体と脳を切り離しても私は存在できる

という考え方であり、

それが独我論にある核心的な考えを表しているのではないか、と。

 

そして、この考え方が、

市場経済とコミュニティ・自然」「脳と身体」

の関係を転倒させてしまった、と考察していた。

 

筆者は、市場経済がコミュニティ・自然に着陸としていくことを、

“地域への着陸”と表現し、コミュニティ経済が着陸への鍵を握るとして、

さまざまな具体例や事例をあげていた。

 

だとすると、脳が身体に着陸していくことは、

“身体(感覚)への着陸”と言えるだろうか。

その着陸への鍵が、ヨガ・ピラティスになるのではないか、と思ったのだ。

 

自分の身体や心の働きへの意識を向けていくことが、

豊かな人生、そして、社会を創り出すことにつながっていくのではないか。

 

土台から離陸した現代社会の構造や価値観から、

着陸に向かうための方法や思想に

ヨガやピラティスは貢献していけると思う。

 

そこに、ヨガ・ピラティスの価値と可能性があると思う。

 

おはる